株価が暴落したらどうする?基本的な考え方と具体的な行動を解説
投資家なら誰もが思うこと、それは「持ち株が暴落したらどうしよう」という不安ではないでしょうか。
下落をすることなく、右肩上がり一直線に株価が推移すればよいのですが、現実的にはありえせん。小さな変動は日常茶飯事、時には「暴落」と呼ばれる株価の急降下を経験することもあるでしょう。特に21世紀に入ってからは、ITバブル崩壊、リーマンショック、チャイナショック、コロナショックなど、大幅な株価下落が定期的に起こっています。
暴落に対して適切な対処が出来るかは、「暴落が起きる前から備えをしているか」にかかっています。いざ暴落を迎えてから対処法を模索しても遅いのです。今回の記事では、株価の暴落が起こる原因、暴落時の心構え、具体的な対応策について初心者にも分かりやすく解説しています。
コロナショックを乗り越えても、また次の金融危機は必ずやってきます。暴落に対して適切に対処できるように、逆に運用成績を伸ばすチャンスに変えられるように知識を蓄えておきましょう。
株価が暴落する原因
株価は、買い注文と売り注文のバランスによって上下します。人気の高い銘柄は買い注文が多いので株価は上昇しやすく、逆に不人気銘柄は買い手が見つからないため株価は低い傾向があります。
そのため、株価が急激に下落する「暴落」も、株式の売り注文が急激に増加することで起こります。売り注文が増える原因は実にさまざまです。企業が隠蔽していた不祥事が明るみに出たこと、大国同士の貿易摩擦、国を巻き込むレベルの戦争・紛争、自然災害など枚挙にいとまがありません。
しかし、暴落には共通した原因があることも事実です。現在では、大きく分けて4つの原因に分類されます。順にみていきましょう。
個々の企業に原因がある場合
経済的な影響力が大きい巨大企業に当てはまります。巨大企業の不祥事が明らかになり銘柄が大量に売られると、その影響は経済全体に及ぶ場合があるのです。
企業が巨大な場合、その企業の株主になっている別の企業も多いため、経済全体に悪影響を与えやすいのです。また、巨大企業であれば取引相手も多いため、その取引先の営業利益も圧排される可能性があります。
経済全体の見通しが不安な場合
経済全体の見通しが暗い場合、株式投資全体の人気が低下します。なぜなら、企業の業績も落ち込みやすく株式で利益を得られる期待が低いため、各投資家が持ち株をを手放してしまうからです。
「リーマンショック」や「コロナショック」などによる株価暴落が該当します。「〜ショック」と名前の付くような暴落時は、暴落の原因とは関係ない銘柄も下落する傾向があります。つまり、経済全体の株価が不調に陥るのです。
為替レートが影響する場合
自社の製品や原材料などが輸出入に関わっている場合、企業の業績と株価が為替レートの影響を受けることが多々あります。例えば、企業が自社製品を輸出する場合、過度な円高は株価が下落する要因になります。逆に、輸入企業であれば株価を上げる要因になります。
急激に為替レートが変動すると、株価も大きな影響を受けます。場合によっては、暴落とも呼ばれる下落を引き起こします。
政治紛争・戦争などの社会的要因が影響する場合
株価に影響するのは企業の要因だけではありません。社会全体に影響を及ぼすほどの政治問題・戦争・災害が起きれば、当然株価も下落します。そのため、投資家は政治や社会的ニュースにも関心を向けなくてはいけません。
過去にはどんな暴落があった?
では、現実にはどんな暴落があったのでしょうか。ここでは、2000年代に起きた4つの暴落についてお伝えします。
ITバブル崩壊
2000年代初頭に起きたアメリカ発端の株価暴落です。インターネット関連企業の株が急騰し、ITバブルが起きました。会社名に「ドットコム」が入っているだけで株価が上昇したと言われるほどで、別名「ドットコムバブル」とも呼ばれます。
しかし、2001年にはITバブルが崩壊し、その影響は瞬く間に世界に広がりました。日本も大きな影響を受け、日経平均株価も20,000円台から7,000円台に急落しました。
リーマンショック
2007年にアメリカのリーマン・ブラザーズが経営破綻し、世界的な金融危機が発生しました。原因はサブプライムローン問題と呼ばれる、不動産関連のマイナス要因でした。日経平均株価は7,000円台となり、バブル後の最安値を記録しました。
ギリシャ危機
2009年に起きた、ギリシャの経済危機のことです。危機当時のギリシャは、非常に手厚い社会保障制度が整っていましたが、これは国にとって大きな負担になっていました。また、全労働者の約1/4を公務員が占めていることも問題でした。ギリシャ危機による財政赤字はGDP比で約13%にも膨らみ、ギリシャ国家の破綻まで噂されました。
当然、ギリシャの債務不履行(デフォルト)も問題になりました。欧州連合(EU)の支援も永遠ではなく、支援を延長しないとが決定された際には全世界にリスク回避の動きが広がりました。投資家の売り注文が相次ぎ、株安が世界に波及したのです。
コロナショック
新型コロナウイルスが全世界的に拡大たことで、各都市はロックダウン等の措置を余儀なくされました。当然物流は途絶え、商品の売上も減少し、経済は停滞しました。
一方で、コロナショックでは過去に類を見ない株価のV字回復もありました。理由としては、経済危機に対して各国がおこなった金融の質的・量的緩和が挙げられます。NASDAQや日経平均株価が、過去最高値を記録したことも記憶に新しいでしょう。
株価暴落時の考え方、狼狽売りは絶対ダメ
実際に暴落を経験する前から暴落時の心構えを知っておくことで、適切な対処が可能です。
株価が暴落すれば、当然みなさんのポートフォリオも含み損を抱えるでしょう。大きな含み損を目の当たりにした場合、「これ以上値下がりする前に」という思いから早々に持ち株を売却する方がいます。冷静に判断した結果の売却なら問題ないですが、パニック状態での「狼狽売り」だけは絶対に避けましょう。早く損益を確定したい気持ちは分かりますが、その企業に問題がなければ株価が持ち直す可能性も十分になります。冷静になって、株価が暴落した原因を分析することが大切です。
株価暴落時は「買い増し」すべき?
株価の暴落時は、優良な銘柄をバリュー価格で購入するチャンスです。しかし、やみくもに株を購入しても利益は得られません。ここでは、暴落時に買い増しすべき銘柄の特徴について、2つのポイントをお伝えします。
連れ安株を狙う
「連れ安」と呼ばれる銘柄を狙うことをおすすめします。連れ安銘柄はその企業に問題がなくても、同じ業種や関連銘柄の値下げにつられて株価が下がった銘柄のことです。その企業自体に問題がなければ、自然と元の株価水準まで戻ることが期待できます。また、業績好調の企業であれば、以前の水準を大きく超えて成長する可能性もあります。
連れ安なのか、本当に企業に問題があるのかを判断するには「ファンダメンタルズ分析」が有効です。四季報や企業の決算報告を自分で解析できれば、本当に企業自体に問題がないかを判断できます。連れ安株は、バリュー投資にも似た投資手法です。しっかり勉強すれば、大きなキャピタルゲインを手にできるかもしれません。
値下がり続ける株は購入禁
投資の格言に「落ちてくるナイフは掴むな」というものがあります。「優良に見える銘柄であっても、値下がりし続けているものは購入してはいけない」という教訓を指します。
下降局面に入った銘柄の場合、「これ以上の下落はないだろう」と予想しても、その予想以上に値下がりを続けることが多々あります。そのような状況でも逆張りを狙って購入する投資家がいますが、これは大きなリスクを伴います。予想が外れればさらに株価が下落して、大きなマイナス利益を抱える可能性があるのです。
そこでおすすめなのが、「底値をたたいてから買い付ける」方法です。株価が完全に下げ止まり上昇局面に転じてから購入するほうが、より安全に買い付けることができます。底値か否かを判断するのは難しいですが、「テクニカル分析」を用いることが有用です。テクニカル分析は、過去の株価チャートを参考に未来の値動きを予想する投資手法です。「ダブル・ボトム」などの指標が底値の見極めに役立ちます。テクニカル分析の詳細はこちらの記事で解説しているので、気になる方は参考にしてください(→株式投資の銘柄選択法。テクニカル分析とファンダメンタル分析について リンク)。
まとめ
株価の暴落には共通した原因があります。個々の企業の要因、世界経済への不安、為替レート要因、社会的要因の4つが主な原因となり暴落を引き起こします。例えば、もっとも記憶に新しい「コロナショック」は、世界経済への不安が引き金となり起こった暴落でした。
長く投資をしていれば、「~ショック」と名前のつくような暴落を経験することもあるでしょう。株価が暴落すれば、個人投資家のポートフォリオも相当のダメージを受けることが予想されます。一時的かもしれませんが、大きな含み損を抱える可能性もあるでしょう。初めての大損にパニックに陥る気持ちも分かりますが、そのような時こそ冷静な判断が求められます。むしろ、投資対象が「連れ安」になっている場合は買い増しのチャンスかもしれません。「ピンチはチャンス」という格言がありますが、冷静に状況を分析できれば利益を伸ばせる可能性すらあるのです。
「暴落のことなんて考えたくない」と目を背けるのではなく、普段から暴落時の行動をシミュレーションしておくことが肝要です。損切りラインや、買い増し対象銘柄を決めておくことで、「損失を最小限、利益を最大限」にすることができます。ぜひ本記事を参考に、暴落時の行動を考えておきましょう。