ETFって何?メリット・デメリット、投資信託との違いを解説

2021年7月28日

ETFと投資信託は共通点も多く、特に初心者の方は混同しがちだと思いますが、実はまったく別の金融商品です。ETFは証券取引所を介して取引をするため、注文方法を選べたり、リアルタイムでの取引が可能であったりと、投資信託とは異なるポイントが多々あります。

加えて、ETFは個人投資家にいくつものメリットをもたらしてくれます。そのなかでも一番のメリットは、少額で分散投資ができることでしょう。少ない資金から幅広い銘柄に資産を分散できるため、比較的堅実な投資が可能で、将来に向けた資産形成に適した金融商品とも言えます。この記事では、4つのポイントからETFのメリットをお伝えしているので、ETF投資をするかお悩みの方は、ぜひご参考下さい。

ETFとは?

ETFは「Exchange Traded Fundsの略称で、漢字では「上場投資信託」と書きます。「上場」とは、証券取引所で金融商品が売買されることを表すため、ETFは「証券取引所で売買が可能な投資信託」と言うことです。

この、「上場しているか否か」が大きなポイントになります。証券取引所を介して金融商品の取り引きをおこなうことで、ETFには「24時間取り引きが可能になる」「成り行きだけでなく、指し値でも買付ができる」などの特徴があるのです。この点が、ETFと投資信託の最大の違いと言えるでしょう。

しかし、ETFと投資信託は共通しているポイントも数多くあります。例えば、「基準価格が指数の動きに連動する」点も両者の共通項になります。指数とは、市場全体の価格を反映する数値のことで、国内の代表的な指数として「日経平均株価」や「TOPIX」などは聞いたことがあると思います。ETFも投資信託も、これら指数に連動して運用されるよう設計された金融商品なのです。

また、指数は株価に限ったものではなく、コモディティ(金や原油などの実物商品)、債券、REIT(不動産投資)など、さまざまな金融商品に連動する指数が存在します。投資先の国や業種も幅広い選択肢から選ぶことができ、なかでもアメリカ企業の銘柄で構成された「米国ETF」は高い人気を誇ります。

ETFのメリット

世界中の投資家から支持を集めるETFには、いくつものメリットがあります。投資信託と共通のメリットもあれば、上場しているからこそ享受できるメリットもあります。ここでは、ETFの代表的な4つのメリットについてお伝えしたいと思います。

いつでも取引ができる

非上場商品である投資信託の場合、取り引きは1日1回と決まっており、その基準価格も1日1回しか更新されないため、リアルタイムな取り引きとは言えない商品です。

一方、ETF証券取引所に上場しているため、取引所の営業時間内であれば、いつでも何度でも売り買いをすることが可能です。リアルタイム取り引きがもたらすメリットは何点もありますが、「迅速な対応」ができることが最大のメリットと言えます。つまり、「~ショック」のような市場の急激な暴落に対して、すぐに売り注文が出せたり、逆に「上昇相場だ!」と感じたタイミングで買い注文を出せたりすることもできます。投資信託では、売却を決断してから価格が決定するまでにタイムラグがあるため、本当の暴落時には、売り注文を出した後に実際の売却価格が大幅に下落する可能性があるのです。

ETFも投資信託も長期投資に向いている商品と言われますが、ETFの方が市場の変化に合わせて柔軟に対応できることを覚えておきましょう。

運用コストが安い

一般的に、投資信託よりもETFの方が、運用コストが安いとされています。運用コストにもいくつかの種類がありますが、代表的なものが購入時手数料・信託報酬・売却時手数料でしょう。いずれのコストも、ETFの方が1~2%程度安い傾向があります。

しかし、近年ではファンドの努力もあり、投資信託の手数料も非常に安くなってきています。そのため、両者の運用コスト差も小さくなりつつありますが、まだETFの方が低く抑えられているという現状があります。

分散投資に向いている

「分散投資」は、投資の基本戦略の一つで、業界ではよく使われる用語になります。投資家の資産を1つの国や業種、銘柄に集中投資してしまうと、その商品価格が下落した時に大きな損失をこうむる可能性があります。そのため、資産を値動きの異なる複数の商品に分散することで、リターンを保ちながらリスクを抑えることができるのです。言われてみれば当たり前のように感じますが、この分散投資の重要性を説いた「現代ポートフォリオ理論」はノーベル賞を受賞しており、経済的観点からも評価を得ている確かな手法になります。

個別株投資の場合は、投資家自身が銘柄の配分を考えて分散投資をする必要があるので、とても煩雑です。加えて、経験の浅い初心者の場合、適切な分散投資をするのは難しいかもしれません、一方、ETFは特定の指数に連動するよう、最初から複数の銘柄が組み合わされた金融商品という特徴があります。そのため、一銘柄を購入するだけで分散投資をすることができるのです。

手間と時間がかからず、投資知識の未熟な段階からも利用できるETFは、投資初心者にも始めやすい金融商品と言えますね。

少額からの投資が可能

先ほどの「分散投資」でもお伝えしましたが、ETFは一銘柄を買うだけでも十分な分散効果を発揮します。そのため、少額の投資資金でも始められるメリットがあります。

個別株を組合せて自前のポートフォリオを作る場合は、時間だけでなくお金もかかります。株式銘柄などには最小単元数が設定されていることも多く、全ての銘柄が一株から購入できるわけではありません。そのため、どうしても費用が大きくなりがちなデメリットがあるのです。

お試しで投資を始めたい方や、他の投資で資金に余裕のない方でも、最小限の金額から投資にチャレンジできるETF投資は、絶好の投資手法と言えるでしょう。

ETFのデメリット

便利なETFですが、何点か注意すべきポイントがあるのも事実です。ここではETFを始める前に知っておくべきデメリットを2つご紹介します。

複利効果を享受できない

「複利効果」とは、投資で得た利益を再投資に回すことで、利息が利息を生む効果を意味します。つまり、長い時間をかけて投資をするほど利益が増え、その利益がさらなる利益を生み出してくれるので、投資効率を上げる効果があるのです。

通常の投資信託の場合、商品の種類によっては投資の利益を自動的に再投資してくれるものもあります。そのため、複利効果による投資効率アップだけでなく、税金を繰延べする効果も期待できます。

一方、ETFの場合、分配金を自動で再投資してくれるシステムは存在しません。よって、投資効率を高めるためには、投資家自身が分配金で新たな商品を買い付ける必要があるのです。分配金は支払われる度に税金が課税されるため、節税の観点からも非効率と言わざるを得ません。

ポートフォリオを自分で組む必要がある

ETFは一銘柄で分散効果ができることはお伝えしたとおりですが、基本的に、株・REIT・コモディティなどのように、資産クラスごとに商品は分かれています。忠実に分散投資を実行するのであれば、これら資産クラスも分散したほうがよいため、複数のETFを買い付ける必要があるのです。

しかし、この点は一概にデメリットとは言えないかもしれません。資産クラスの組み合わせを考えたり、市場状況に合わせて変更を加えたりすることは手間ではありますが、確実に投資の知識を身につけられます。利益を得ながら勉強もできる点は、考え方によってはメリットと言えるかもしれません。

「自分で資産クラスを考えるなんて面倒で嫌!」という方は、投資信託商品であれば「バランスファンド」といって、あらかじめ複数の資産クラスが組み合わされた商品があります。これであれば、一銘柄で全資産クラスに分散投資できるため、手間いらずですよ。

まとめ

今回の記事では、ETFの概要とメリット・デメリットについてお伝えしました。

ETFは証券取引所を介して取り引きをおこなうため、リアルタイムな売り買いが可能です。投資信託よりも「投資をしている!」という感覚を感じやすい商品だと思います。一方で、投資信託と同様、指数連動型の商品のため、堅実な投資ができる特徴もあります。「なるべくし失敗したくない」「リスクは最小限に」という方も、比較的安心して投資に取り組めるのではないでしょうか。

加えて、ETFは少額で幅広い銘柄に分散投資ができるメリットもあります。投資信託と同様、投資初心者も取り組みやすい部類に含まれるので、ETFから投資をスタートさせてもよいかもしれませんね。