NISAとは?基礎知識とおすすめの始め方を解説【初心者向け】

2021年4月25日

NISAは、個人投資家のための税制優遇制度のことです。みなさんに安心して長期の資産形成に取り組んでもらえるよう、金融庁が2014年1月から制度をスタートさせました。

まだ始まったばかりの新しい制度ですが、すでに1,500万以上の口座数が開設され、その取引金額も20兆円をゆうに超えています。(金融庁 NISA・ジュニア NISA 口座の利用状況調査2020年9月末時点 より)

NISAには3つの制度がありますが、各々に適した制度を利用することで、今よりも投資効率を高めながら資産形成に取り組むことが出来ます。

しかし、初心者の方にしてみれば「どのNISA制度を利用すればいいか?」「それぞれの制度の違いはなにか?」など、NISAについての疑問は尽きないと思います。

この記事では、NISAの概要を投資初心者にも分かりやすく解説しています。加えて、みなさんが一番気になるであろう「初心者におすすめのNISAの始め方」についてもご紹介しています。

「NISAを始めたいけど、なかなか踏み出せない!」という方に、最も読んでほしい内容になっていますので、ぜひ最後までお付き合いください。

初心者でもわかるNISAの概要

NISAは、個人投資家向けの税制優遇制度のことです。簡単に言えば「投資で利益を得ても、税金を支払わなくてOK!」というお得な制度です。

通常、株式などの金融商品を運用して得た利益には税金がかかります。どんなに投資が上手な人でも、投資の儲けをまるまる自分のものには出来ないのです。

通常の株式売買であれば、20.315%の税率がかかります。例えば、株式売買で1,000万円を儲けても、約200万円は税金で取られてしまうということです。

NISAでは、この税金が免除されるため、投資の利益をすべて自分のものにすることが可能です。また、投資による利益が増えれば増えるほど、納税金額も増えるわけですから、NISAの効力も大きくなります。

ちなみに、NISAは「Nippon Individual Savings Account(日本の個人貯蓄口座)」の頭文字をとったものです。ISA(Individual Savings Account)はもともとイギリスの制度なので、これを輸入して、日本バージョンにアレンジした制度ということですね。

初心者でもわかるNISAの3つの制度

現在、NISAには3種類の制度があります。それが「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3つです。

2014年に制度が開始されたときには、一般NISAしかありませんでしたが、2016年にジュニアNISAが、2018年につみたてNISAが追加され、現在の形にいたっています。

それぞれの制度で、対象年齢や非課税投資枠、非課税投資期間などの違いがあります。NISA口座を開設する際は、この3つの制度の中から1つを選んでNISAを始めます。

初心者におすすめのNISA制度をお伝えする前に、ここでは3つの制度の概要を簡単にお伝えしたいと思います。

一般NISA

一般NISAは、日本在住の20歳以上であれば口座を開設できます。

非課税投資枠は年間120万円と、NISAの中でも最大の投資枠があります。

投資対象も幅広く、豊富な株式と投資信託商品の中から選択することが出来ます。

また、非課税投資期間は5年と比較的短いのも特徴です。iDeCoと違い、いつでも払出し・売却ができるので柔軟に投資が可能です。

ただし、払出し・売却した場合は、対応する非課税投資枠は再利用できないので、この点はご注意下さい。

つみたてNISA

つみたてNISAも、日本在住の20歳以上であれば口座開設可能です。

非課税投資枠は年間40万円と、一般NISAに比して見劣りますが、その最大の特徴は非課税投資期間の長さです。最長20年間という、超長期にわたって税金が免除されるため、老後の資産形成などを見すえた場合に、おすすめできるNISA制度です。

投資対象は、金融庁が厳選した投資信託商品から選択することになります。一般NISAよりも対象商品は少ないですが、いずれも「金融庁お墨付き」商品なので、どれを選んでも大きく失敗しにくいのです。この「厳選された商品」という点をメリットと捉えるか、デメリットと捉えるかは人それぞれだと思います。

ジュニアNISA

ジュニアNISAは、日本在住の0~19歳の方が口座開設可能です。「我が子のための資産形成」の一環として、ご両親が利用する制度とも言えます。

非課税投資枠は年間80万円で、非課税投資期間は5年間です。

ジュニアNISAのポイントは2つあります。つまり、原則18歳までは口座からの払出し不可なこと、ジュニアNISA利用中に20歳を迎えたときは自動的にNISA口座が開設されること、の2点です。ジュニアNISAは就職前の子どもの資産形成を目的にしているため、このような制約が設けられているのです。

初心者におすすめのNISAの始め方

NISAの3種類の制度は理解できたと思いますが、残念ながら3つの制度を全て利用することはできません。資産形成を考えている成人の方であれば、「一般NISA」か「つみたてNISA」で選択に迷う所だと思いますが、初心者にはどちらの制度がおすすめでしょうか?

わたしは、初心者の方には「つみたてNISA」をおすすめしています。つみたてNISAは、投資初心者でも始めやすい仕組みが整っており、投資の知識が浅い段階からでも十分に活用することができます。ここでは、つみたてNISAが初心者におすすめできる理由をお伝えしたいと思います。

ドルコスト平均法を活用できる

つみたてNISAは、その名の通り、積立投資をおこなうことになります。積立投資とは、毎月決められた金額で、コツコツと金融商品を購入する投資手法のことです。

毎月同じ金額で商品を購入する最大のメリットは、「自動的に、商品が安い時は大量に買い、高いときは少量しか買わない」という投資ができることにあります。つまり、相場を読む力がない初心者でも、積立投資をおこなえば、リスクを軽減しながら資産を形成できるということです。これを専門用語でドルコスト平均法といいます。

長期投資が前提の初心者であれば、初期はドルコスト平均法で投資を始めつつ、知識が増えたら個別株に挑戦する方法も負けにくい投資法の一つです。

対象金融商品はどれも金融庁お墨付き

先ほどもお伝えしましたが、つみたてNISAの投資対象は投資信託のみです。投資信託は「株や債券の詰め合わせパック」とも表現されますが、残念ながら全ての投資信託が「お買い得なパック」ではないのです。

なかには投資するに値しない不良投資信託もあるのが現実です。しかし、知識の乏しい段階で、投資信託の目利きをするのは、なかなか難しいと思います。

一方、つみたてNISAの対象投資信託は、いずれも金融庁が許可した「優良投資信託」です。具体的には、運用コストが安かったり、買付価格が無料であったり、長期運用に適した商品内容であったり、優良商品のみが投資対象になっているのです。

つまり、つみたてNISAにおける商品選択では、「すでに厳選された商品から選ぶ」ことができるので、初心者でも大きな失敗を避けやすい特徴があります。これに、先ほどのドルコスト平均法が加わるので、さらにリスクを軽減化することが可能です。

投資初期の失敗は、資産的にも精神的にも大きなマイナスになりがちです。よりリスクを下げた資産形成を選ぶなら、つみたてNISAを活用することをおすすめします。

年間の非課税投資枠40万円、月々最低100円から投資が可能

つみたてNISAの非課税投資枠は年間40万円と、一般NISAの120万円に比べると、見劣りを感じる方もいると思います。しかし、考え方によっては、やや少なめの投資枠はメリットにもなりえるのです。

知識の乏しい初期段階から、大きな金額を投資するのは、リスクが大きすぎる場合があります。一般NISAで投資を始めた場合、人間心理として、120万円の投資枠を限度いっぱいに利用しようと思いがちです。最初から、投資枠が40万円と低めに抑えられていることは、リスクマネジメントの観点からはメリットと言えるでしょう。

加えて、つみたてNISAも月々最低100円から積立投資をすることが可能です。あまりに低すぎる金額ですと、リターンを実感しにくいデメリットがありますが、慣れない初期は少ない金額で初めたほうが無難と言えます。

増額設定は、あとからでも可能なので、「小さく始めて大きく育てる」ことを意識して、投資活動をスタートさせてはいかがでしょうか。

まとめ:NISAは目的に合った制度で!初心者はつみたてNISAがおすすめ!

今回の記事では、NISAの概要や各制度の特徴、そして初心者におすすめのNISA制度についてお伝えしました。

NISAを活用することで、税金を免除しつつ効率的に資産を形成できます。各制度によって、非課税投資期間や投資枠などが異なるため、自分の目的にあった制度を選択しましょう。

投資知識の浅い段階では、つみたてNISAから始めるのが無難です。ドルコスト平均法を活用しながら、厳選された投資信託に投資をできるため、初心者でも大きな失敗を避けながらNISAデビューができますよ。