株式投資のセクターとは?米国銘柄11の分類と重要性を解説

株式には、「セクター」と呼ばれるグループがあります。セクターの中でも、特に業種による分類を意識して投資をすることで、リスクやリターンをコントロールした運用が可能になります。米国株式の場合、主に11のセクターに分類されますが、それぞれのセクターには異なる特徴があります。それぞれの特徴を理解すれば、安定しつつ再現性のある投資も実現できるでしょう。

ぜひ本記事を参考にセクターの概念を理解し、みなさんの投資に生かしてほしいと思います。

セクターってなに?

「セクター」とは、株式銘柄や株式市場を分析する際に区分されるグループのことです。株式にはさまざまな分類方法があり、その数だけセクターにも種類があります。具体的には、業種・発行株数・企業規模・株価などによるセクター分類があります。すべての投資家は、セクター同士を比較することで「いまはヘルスケアセクターに投資すべきだ!」と判断したり、同セクター内の銘柄を見比べて「情報技術セクターでは、この銘柄が買いだ!」などの判断をしたりするのです。

具体的な11のセクターについては記事後半で詳細に触れますが、ここではその一例を見てみましょう。例えば、水道会社の銘柄であれば公共セクター、銀行業の銘柄であれば金融セクター、などの業種別分類が一般的です。各セクターの銘柄には共通した特徴があり、「公共セクターは株価が安定している」「エネルギーセクターは景気敏感株が多い」のように表現されます。各セクターのメリット・デメリットを理解しておくことで、みなさんの目的に合った投資が可能になります。

セクターごとに特徴がある

セクターにもさまざまな種類があることをお伝えしましたが、なかでも「業種別のセクター」を扱う機会が多いと思います。株式銘柄を業種別に分類すると、単に銘柄を選定するのに便利なだけでなく、リスクをコントロールした投資が可能になります。

例えば「日用生活品セクター」を考えてみましょう。日用生活品セクターは、人が毎日使う商品を取扱う企業がほとんどです。そのため、日用生活品セクターの株価は常に一定の需要があり、急激な需給バランスの変化は起きにくい特徴があります。つまり、日用生活品セクターの株価は比較的安定した推移を示すことが予想されます。

また、「ヘルスケアセクター」であれば新薬開発の影響などを考慮する必要があります。自社が開発した新薬の有効性が証明され、世界的に承認を受ければ株価の上昇が期待できます。新型コロナウイルスが流行した際の、ワクチン認可に伴う株価の変動も記憶に新しいでしょう。一方で、薬品の異物混入などが発覚すれば株価は大きく下落します。このように、ヘルスケアセクターは比較的大きな株価変動の特徴があるのです。

これらはセクター分類の一例にすぎませんが、セクターごとに暴騰率やリターンに特徴があることが理解できたと思います。最初から一つひとつの銘柄を分析するのもよいですが、ある程度セクターを絞ってから銘柄を検索した方が、銘柄選定もスムーズでしょう。

セクターを意識した投資とは?

セクターを意識して投資をすることで「極力リターンを高めたハイリスクハイリターンな投資」「リスクを意識した堅実な投資」など、投資家の許容レベルに応じた運用が可能になります。ここでは、セクターを意識した「分散投資」と「集中投資」の2種類をお伝えします。

セクターを意識した分散投資

「分散投資」は、資金を値動きの異なる複数の資産に分散することで運用のリスクを抑える手法のことです。分散する方法もさまざまで、複数の国・地域に投資をする方法や、長期投資をすることで時間の分散を図る方法などがあります。そして、異なる複数のセクターへ資産を分散することも分散投資の一つです。

セクターが異なる銘柄に分散投資すれば、それぞれ別の値動きをする可能性が高まります。例えば、比較的株価が安定している日用生活品セクターに投資をしつつ、高成長を期待して情報技術セクターにも投資をする例が挙げられます。全資産を日用生活品セクターに投資しては大きなリターンは期待できない一方、情報技術セクターだけではリスクが大きすぎるデメリットがあります。このように複数のセクターに分散投資をすれば、株価の変動を抑えることにつながります。すなわち、リスクを軽減化できるのです。

一方、セクターを意識しないで分散投資しようとすると、同じセクター内の銘柄を複数購入してしまう可能性があります。同じセクター内の場合、別の銘柄でも同じような値動きをすることが多いため、これでは分散効果をえられません。分散投資をするのであれば、是非セクターも意識してポートフォリオを構築しましょう。

同セクターへの集中投資

「集中投資」は、分散投資とは真逆ともいえる投資手法です。あるセクター全体の株価が好調な場合、そのセクターの銘柄を集中的に購入することで大きなリターンを狙います。

例えば、「5Gの普及に伴って情報技術セクター全体が成長するだろう」と考えるのであれば、情報技術セクターの銘柄に集中投資をします。投資家の読みが当たれば、ほかのセクターに資金を投入するよりも効率的に資産を拡大できます。

一方で、集中投資には大きなリスクも伴います。ご想像の通り、セクター全体の株価が下落局面に入った場合、大きな損失をこうむる可能性があるのです。高いリターンには必ず高いリスクが伴うものです。プロの投資家であっても市況を完璧には読めないので、初心者にとって集中投資はリスクが高すぎる手法かもしれません。

具体的な11のセクター

ここでは、米国株に代表される11のセクターについて簡単にご説明します。

情報技術セクター

情報技術セクターは、IT技術サービスを中心とした成長性の高い企業です。ベンチャー企業も多く、ハイリスクハイリターンな投資になりやすい特徴があります。

米国のGAFAM(Google・Amazon・Facebook・Apple・Microsoft)」は、情報技術セクターに分類される企業が多いのです。

ヘルスケアセクター

ヘルスケアセクターは、医薬品や医療機器を中心とするセクターです。成長性の高い企業が多く、その需要も普遍的なため投資家からの人気も高い特徴があります。近年では、新型コロナウイルスのワクチン開発で注目を浴びていました。

「ジョンソン・エンド・ジョンソン」や「ファイザー」などが挙げられます。

一般消費財セクター

一般消費財セクターは、娯楽品を取り扱う業種が多いため景気に左右されやすい特徴があります。株価も乱高下しやすいため、ほかのセクターと組み合わせてリスク分散を図ることをおすすめします。

通信サービスセクター

情報技術セクターと同様、IT系企業が多いため高い成長性が期待できる業種です。企業の成長に伴い大きなキャピタルゲインを獲得できる可能性があり、グローズ株投資に向いています。

金融セクター

金融セクターは、銀行や証券会社などの金融機関を中心とする業種です。取引手数料や金利で利益を得ているため、金利や景気に大きな影響を受けます。高金利時には高いリターンを期待できるセクターです。

資本セクター

資本セクターは、原料の製造会社や設備機器の製造など、BtoBがメインになります。資本セクターの銘柄は好景気に強い特徴があるため、不景気時に仕込んでおくことで大きなリターンが期待できます。

日用生活品セクター

日用生活品セクターは、食料品や生活雑貨を取り扱う業種です。常に一定の需要があるため、景気の影響を受けにくく株価も比較的安定した特徴があります。日用生活品セクターの銘柄には、高配当株投資に向いている銘柄が多い特徴があります。成熟企業が多く、連続増配を続けている会社もあるため、インカムゲインを狙った投資に適したセクターといえます。

「P&G」や「コカ・コーラ」などが代表的な企業です。

公共セクター

公共セクターは、電気・ガス・水道などインフラ系を提供する業種です。日用生活品セクターと同様、日常生活に欠かせない業種なので、比較的安定したリターンを期待できます。ほかの成熟企業と同様、低リスクで高配当な投資が可能です。

不動産セクター

不動産セクターは、土地や建物の売買や賃貸を中心とした業種です。景気に左右されやすい以外にも、金利変動のリスクを強く受ける特徴があります。

素材セクター

素材セクターは化学原料や金属など、商品の素材を生産する業種です。商品の生産が景気の影響を受けやすいことから、素材セクターも景気敏感セクターといえます。

エネルギーセクター

エネルギーセクターは、原油関連の業種です。先物取引のように原油価格大きく左右される特徴があります。高配当株投資に適した銘柄も多く、安定したインカムゲインを期待できます。

まとめ

今回の記事では、投資をする上で意識すべき「セクター」についてお伝えしました。セクターを意識して投資をすることで、個々の投資家に見合った許容レベルで資産を運用できます。銘柄を選定する際やポートフォリオを構築する際には、ぜひ今回の記事を参考に、セクターを意識した投資をしてみましょう。