所得控除の対象!生命保険料控除について解説

2021年7月28日

お金を貯めようとおもっているのに出費が思うように減らない。お金を貯めようと思っていても、なかなかうまくいかないものです。出費を減らすことは簡単なことではありません。

日々の生活に必要なお金を削ることはできませんし、自分の趣味や楽しみのために使っているお金もなかなか減らすことはできないでしょう。

しかし、税金を減らすことができれば、生活に必要な出費を減らすことなく、支出を抑えることができます。

今回は税金を減らすことができるオススメの方法として生命保険料控除をご紹介します。

所得控除とは

生命保険料控除は所得税を減らすことができる制度です。生命保険料控除を理解するためには所得控除の仕組みを理解しておく必要があります。

所得とは年間に入ってくる収入から経費を差し引いたものです。サラリーマンの方は経費という考え方はあまりないかもしれませんが、個人事業主の方は事業に必要な様々な経費を差し引いて所得を計上しています。

日本の税金は税金を支払う能力が高い人ほど税率が高く、たくさん税金を支払ってもらう制度になっています。つまり高所得者ほど税金が高いというわけですね。

しかし、高所得者であっても、様々な事情で税金を多く払うことが難しい場合や、政策的に税金を優遇することで制度を広めたい場合、所得から一定額を控除する制度があります。それが所得控除です。

所得控除を適用することで適用金額を所得から差し引くことができますので、所得税や住民税の節税に繋がります。

所得控除はサラリーマンの方が適用できる給与所得控除や扶養する人がいる場合に利用できる扶養控除などがあり、所得控除の種類は全部で14種類あります。生命保険料控除は14種類ある所得控除のうちのひとつであると覚えておいてください。

所得控除を活用して節税をする方法として、生命保険料控除以外では小規模企業共済等掛金控除が適用できるiDeCoも有効な手段です。

iDeCoを活用した節税についてはこちらの記事へ

生命保険料控除とは

生命保険料控除は納税者が生命保険の保険料を支払った際に、一定額を所得控除の対象とできる制度です。

生命保険料に対し、所得税が優遇されるのは政府の政策的な意図からです。生命保険料控除を適用することで、ライフプランのおける様々なリスクに備えることができます。

国民一人一人がリスクに備えることができるように生命保険料控除の制度を設けて生命保険の加入を促しているのです。

生命保険料控除の対象商品

生命保険料控除の対象となる商品には主に3つの保険契約があります。どのような保険契約が生命保険料控除の対象となるのか解説します。

一般の生命保険契約

一般の生命保険契約は一般的な死亡保険契約のことです。毎月や毎年一定額を支払い、死亡時に一定額が支払われる生命保険をイメージするとよいでしょう。

生命保険は掛け捨てのものだけでなく、貯蓄性がある生命保険も生命保険料控除の対象となります。

現在は超低金利の時代となっていますので、円建ての貯蓄型保険はほとんど増えることはありませんが、生命保険料控除の対象となるため、節税にはつながります。

生命保険契約をすることで、死亡保障に備えながら節税もできるため、家族を養っている方や将来に向けてお金を貯めておきたい方にオススメです。ただし、貯蓄型の保険は一定期間解約できない商品が多いので、今後のライフプランを見据えて余裕資金で契約するようにしましょう。

一方、掛け捨ての生命保険は毎月の保険料は割安となりますが、貯蓄性が無いため、出費が多くなってしまいます。無駄な出費が増えないように厳選して契約するようにしましょう。

個人年金保険契約

個人年金保険契約とは将来年金給付をすることを目的として保険料を支払う生命保険契約です。

生命保険料控除の対象となる個人年金保険契約は年金の支払い開始が、満60歳になってから支払われるもので、10年以上の定期受け取りまたは終身の年金で受取人が本人か配偶者であることが条件です。また、保険料の支払い期間も10年以上行う必要があります。

個人年金保険は老後資金を貯めるために有効な生命保険です。老後資金は銀行の定期預金などでも貯めることができますが、生命保険会社の個人年金保険を活用することで節税しながら老後資金を貯めることが可能です。

ただし、個人年金保険は原則60歳になるまで解約することができません。今後住宅購入や教育費用など大きな出費が予想される場合、保険料の支払いが難しくなる可能性がありますので、慎重に検討する必要があります。

介護医療保険契約

介護医療保険とは介護に備える保険のことです。公的な介護保険は40歳から加入が義務付けられていますが、民間の介護医療保険は商品によって何歳でも加入することができます。

医療介護保険契約をしておくと要介護認定などの条件を満たすことで年金や一時金で保険金が支払われる仕組みです。

少子高齢化が進んでいく日本では介護は大きな問題となっています。公的な介護保険だけでは不安に感じている方は加入を検討してみてもよいでしょう。

生命保険料控除の上限金額

生命保険料控除の上限額について解説します。生命保険料控除は支払った金額がそのまま所得控除の対象となるわけではありません。各種保険に支払った金額に対する控除金額表の通りです。

年間の支払保険料控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超一律40,000円

それぞれの上限金額は次の表の通りです。3つの種類の保険契約で所得税の控除対象となる金額はそれぞれ4万円で合計12万円住民税の控除対象となるのはそれぞれ2.8万円で合計7万円です。

それぞれの保険の種類によって上限金額が決められているので3種類全ての生命保険を契約しなければ、所得税12万円、住民税7万円の控除を受けることができません。

たとえば、大きな金額で一般の生命保険を契約したとしても、個人年金保険と介護医療保険の契約が無ければ、控除できる金額は所得税の4万円、住民税の2.8万円が上限となります。

それぞれの生命保険の特徴を活かしながら所得税や住民税の節税をすることでリスクに備えてお金も貯めることができます。

 一般の生命保険個人年金保険介護医療保険
種類別の
控除額
所得税4万円4万円4万円
住民税2.8万円2.8万円2.8万円
全体の
控除額
所得税12万円
住民税7万円

生命保険料控除を適用するための手続方法

生命保険料控除を適用するためには手続きが必要です。しっかりと手続きを行わなければ生命保険料控除の適用を受けることができませんので注意しましょう。

生命保険料控除の適用を受けるためには2種類の方法があります。

年末調整

会社員や公務員の方が生命保険料控除を適用する際は年末調整で手続きを行うことができます。

会社員や公務員の方は毎月給与から所得税が源泉徴収されていますが、払い過ぎた税金が年末に返ってくるのが年末調整です。

年末調整の際には生命保険会社から送付されてくる生命保険料控除証明書を提出する必要があります。年末調整の方法は勤務先から案内されますので、忘れないように手続きをするようにしましょう。

確定申告

個人事業主やフリーランスの方、2つ以上の勤務先から給与を受け取っている方は確定申告が必要です。確定申告を行う際は保険会社から送付されてくる生命保険料控除証明書の金額を確定申告書に記載する必要があります。

確定申告書の第一表に控除額、第二表に支払った保険料の金額を記入して提出することで生命保険料控除の適用を受けることができます。

まとめ

生命保険料控除は生命保険契約のメリットを得ながら税制優遇のメリットを享受することができます。

特にお金を貯めたいと考える方にとって所得税や住民税を節税できるという点は大きなメリットと言えるでしょう。

生命保険はライフプランにおいて発生することが予想されるさまざまなリスクを低減することが可能です。国民一人一人がライフプランに備えることができるように所得控除の優遇措置が用意されていますので、是非活用したい制度です。

ただし、生命保険を契約することで、費用がかかったり、すぐに資金を利用できなくなったりするなど、デメリットもあります。生命保険を契約する前にデメリットもしっかりと確認して契約をするようにしましょう。

また、生命保険料控除の適用を受けるためには手続きが必要です。会社員や公務員の方の場合は年末調整、個人事業主やフリーランスの方の場合は確定申告を行う必要がありますので、忘れないように手続きをしましょう。