プラチナ投資ってなに?金との違い、メリット・デメリットを解説
コモディティ投資といえば「金」を想像する方が多いと思いますが、今回テーマの「プラチナ」もコモディティの貴金属に分類される投資商品です。産出量は金よりも圧倒的に少なく、日本においても最高級の宝飾品として人気が高い貴金属になります。
「プラチナ投資」と聞いてもパッとイメージが湧かないかもしれませんが、プラチナ投資の最大の魅力は「高い利益性」です。ボラティリティが大きいため、単独での運用はおすすめしませんが、ポートフォリオにプラチナを組み込めば「効果的なスパイス」になることは間違いありません。
従来、ディーゼル車の部品として工業利用されることの多かったプラチナは、電気自動車等の普及によって価格が下落した時期がありました。しかし現在では、投資対象としての価値が再注目されており、値動きを注視して見ていきたいところです。
もちろん、プラチナ投資にもデメリットがあります。期待リターンの高さは、高いリスクの裏返しです。そのため、なんとなくでプラチナ投資を始めるのは、危険と言わざるを得ません。本記事を通して正しい知識を習得してから、プラチナ投資を始めていただきたいと思います。
プラチナ投資とは
プラチナは金と同様、コモディティ投資の貴金属に分類される投資商品です。希少金属といえば金を思い浮かべる方も多いと思いますが、プラチナは金よりも埋蔵量が少ないとされ、希少価値も金額も非常に高い資産なのです。そのため、プラチナ地金やプラチナ投資信託を購入する際は、想像するよりも高めの取引金額になることでしょう。ちなみに、プラチナ地金の場合、5gからの購入が可能です。
プラチナは希少性の高い貴金属がゆえに、高級宝飾品として加工されることもありますが、その需要のほとんどは「工業用」になります。年間プラチナ総需要の約40%は自動車業界が占めるとされ、具体的には、ディーゼル車で発生する有害ガスを除去する浄化触媒として使用されます。
工業用として使用されることは、継続的な需要を生むメリットの一方で、景気の影響を受けやすい特徴があります。プラチナの市場自体も金ほど大きいわけではないため、プラチナの価格は乱高下しやすいのです。
プラチナ投資はオワコン?
近年の自動車業界では、技術革新により従来のガソリン車のシェアは年々縮小傾向にあります。ガソリン車にとって代わり、ハイブリッド自動車や完全電気自動車の販売台数が伸びているのです。
先ほど、採掘されるプラチナの大部分が自動車工業用、特にディーゼル車の排ガス部品に使用されることをお伝えしました。そのため、電気自動車等の普及でディーゼル車の需要が減少すると、プラチナ自体の需要も減ってしまうのです。事実、長い間、金価格を上回っていたプラチナ価格ですが、2015年に両者の価格が逆転してから、プラチナ価格が再逆転する状況は起きていません。今後もディーゼル車の需要は減少することが予想されますが、果たしてプラチナ投資はオワコンなのでしょうか。
答えは「ノー」です。工業用の需要が減少していることは事実ですが、プラチナ自体の希少価値は揺るぎないものがあります。さらに、最近では「資産運用の対象」としてプラチナは評価されており、投資利益を目的に、投資家の間で売り買いされるようになっています。この状況下で、もしプラチナに新たな需要が見出されれば、さらにプラチナの価格は上昇する可能性を秘めているのです。
ほかの投資商品と同様、プラチナの価格変動を完璧に予測することは不可能ですが、十分に利益を狙える投資商品と言えるでしょう。「プラチナ投資で一儲けしたい」という方は、次に説明するメリット・デメリットを正しく理解してからプラチナ投資を始めましょう。
プラチナ投資のメリット
金と同じく、コモディティの貴金属に分類されるプラチナは、そのメリットも金と似ている点があります。ここでは、プラチナ投資の3つのメリットをお伝えいたします。
信用リスクがない
信用リスクがないことは、金と共通したメリットになります。プラチナも金もコモディティに分類される実物資産です。プラチナそのものに価値があるため、国が滅びようが経済が破綻しようが、プラチナ自体の価値が消失する可能性は低く、金融用語では「信用リスクがない」と表現されます。信用リスクがないことは、資産としての信頼性が高いことにつながるのです。
また、新型コロナウイルスが蔓延したときのように、経済の停滞が懸念される場合、各国は積極的な金融緩和をおこないます。企業や経済状況を立て直すことが目的に、政策的に金利を低下させるのです。金利が低下すれば、当然、債券投資への資金流入は減少します。一方、企業も困窮しているため、株式投資も利益を上げにくいのです。このような投資家にとって苦しい状況下で、プラチナの価格は株式等とは異なる値動きを推移することがあります。下がるどころか、むしろ代替資産として価格が上昇することすらあるのです。
税制面で優遇されている
プラチナ投資で上げた利益に課される税金は、株式に対する税金と大きく違います。
具体的には、「譲渡所得に分類されるため、50万円以下の利益に対して非課税」「不動産と同様、5年以上保有すると減税額がアップする」の2点が大きなポイントになります。
株式で上げた利益は、NISA等の非課税口座での運用でない限り、必ず課税対象になります。具体的には、利益の20.315%を納税しなければならないので、50万円儲けても手取りは40万円に減額してしまいます。対して、プラチナ投資では50万円以下の利益であれば税金を払う必要がなく、利益をまるまる投資家の儲けにすることが可能になります。さらに、5年以上保有していれば、譲渡所得の課税率は減少する特徴もあります。
金より希少性が高い
冒頭でもお伝えしましたが、プラチナは金よりも採掘量が少なく、希少性の高い特徴があります。希少性の高さは、現物保有時の投資家の所有欲を満たすだけでなく、ボラティリティ(変動性)の高さも生み出します。
つまり、希少性高いために取扱数も少ないので、プラチナ市場は比較的小さい市場なのです。市場が小さければ、より変動が大きくなるため、高いリターンをもたらす可能性があります。しかし、ボラティリティの高さは諸刃の剣で、同じ額だけ損失を出す可能性もあるため、注意が必要ともいえます。
プラチナ投資のデメリット
プラチナ投資が金投資と同じと思ったらおおまちがいです。ここでは、プラチナ投資のデメリットを2点お伝えしています。
分散効果は高くない
プラチナ投資は、自動車業界の影響を正面から受けやすい特徴がありました。自動車業界は景気に敏感なセクターなので、プラチナ投資も景気や相場に連動しやすい特徴があります。プラチナの価格が景気と連動して動いてしまうと、株式との分散効果は期待しにくく、金のようにリスクヘッジの資産としては機能しないと言えます。
よって、株式とプラチナでポートフォリオを構築して「これで完璧な分散投資だ!」というのは大きな誤りです。プラチナは株式と同様、場合によってはそれ以上にハイリスクな投資対象です。必ず、債券のような値動きがマイルドな商品と組み合わせた運用をおすすめします。
ボラティリティが大きい
プラチナ市場の市場規模は小さいため、ボラティリティが高いという話はお伝えした通りです。ボラティリティの高さは大きなリターンを狙える一方で、大きなリスクを背負うことを意味します。「金と同じような商品でしょ!」と、誤った知識のままプラチナ投資を始めると、大損失をこうむる可能性があるのです。
まとめ
今回の記事では、プラチナ投資の概要とメリット・デメリットについてお伝えしました。
プラチナ投資は、金と同様のコモディティ投資に分類され、同じ貴金属であることから、「同じような投資商品でしょ?」と思っている方も多いかと思いますが、まったく性格の異なる資産であることが理解できたと思います。
特に、市場規模が小さいことと自動車業界に連動しやすいことが原因で、「ハイリスクハイリターン」な投資になることは肝に銘じておきましょう。株式と組み合わせても分散効率は高くないので、必ずローリスク商品と組み合わせることも忘れないでください。
一方で、プラチナ投資の利益は「譲渡所得」に分類されることも特徴的でした。「50万円以下の利益に対しては非課税」「5年以上保有するとさらに減税額」の2点を覚えておけば節税につながりますので、確定申告の際はご注意ください。
自動車業界の変遷に伴い、プラチナ投資も変革期にあります。現在プラチナは、投資資産としての価値が注目を集めており、今後の動向は要チェックです。みなさんのポートフォリオの一つとして、運用してみてはいかがでしょうか。