債券投資って何?今さら聞けない仕組みや種類を解説

「債券投資」は、国や企業が発行している債券を購入することで発行体へ投資をおこなうものです。株式などとは異なり、あらかじめ資金の返済期日や利率が決まっていることが最大の特徴になります。

債券投資というと、「元本割れしない」「リスクがない安全資産」と勘違いしている方がいますが、これは大きな間違いです。「投資」と名前のつくものに絶対はなく、債券投資も100%安全な資産とはいえません。正しい知識のないままポートフォリオに債券を組み入れても、リスクヘッジにならない所か損失をこうむる可能性があります。

ぜひ、本記事をご一読いただいて、債券投資の仕組みや4つのリスクを理解してから、実際の運用を始めてほしいと思います。また、記事の後半には「具体的な債券投資の方法」を3つ紹介しているので、どうぞご参考ください。

債券投資とは?

「債券」は、資金を確保したい国や地方自治体、企業などが発行する借用書のことです。投資家は、この債権を購入することで希望する発行体へ、資金を提供することができます。

債券投資の最大の特徴は、提供した資金の返済期日があらかじめ決まっていることです。株式投資の場合は、基本的に投資家自身が売却機会を見計らって、最も利益を得られるタイミングで売却をしていますが、債券投資では投資の終了日が最初から決まっているのです。

加えて、資金を提供している間は定期的にクーポン(=利子のこと)を受け取れる特徴もあります。債券が満期を迎えたら、債券の額面と最後のクーポンを受け取り、投資は終了となります。金融用語では、満期を迎えて投資が終了することを「債権が償還された」と表現するので、覚えておきましょう。

債券投資の種類

債券は、その発行元によって大きく2種類に分けられます。すなわち、国や公共機関が発行する「国債・地方債・公共債」と、民間企業が発行する「社債」の2種類です。

債券投資と聞くと、「安全な投資」「元本保証」とイメージされる投資家も多いですが、これは間違いなので注意しましょう。特に、社債は要注意です。

債券投資が安全かどうかは、債券の発行元によって大きく異なります。例えば、発行元が日本や米国のような一国家である場合、国そのものが滅びるリスクは限りなく低いことは、想像に難くないと思います。一方で、民間企業が発行した債券はどうでしょうか。国に比べれば倒産するリスクは高いことは明白で、仮に倒産してしまえば投資家が提供した資金も返却されなくなってしまいます。

そのため、債券には発行元の信頼性を測る指標があります。最上ランクの「AAA」や次点の「AA」なら比較的安心して投資ができ、実質的には「元本保証」と言っても差し支えないでしょう。一方で、「BB」以下の債券は「ジャンク債」または「ハイイールド債」と呼ばれ、貸し倒れのリスクが高めの債券投資になります。リスクが高い代わりに、利率が高いなどのメリットを享受できるのです。

債券投資の利益の仕組み

債券で利益を上げる仕組みについては先ほど簡単に説明しましたが、ここではもう少し踏み込んだ解説をしたいと思います。

債券投資の場合、基本的には購入した債権を、満期を迎えるまでホールドすることが多いと思います。この場合、あらかじめ利子をいくら支払うか決定した状態で、発行元は債券を発行するので、投資家にとってはその利子が債券のインカムゲインということになります。例えば、利率1%の債券を200万円分購入した場合、発行から1年後に2万円、2年後にも2万円が支払われます。そして、3年後に債券が償還されるときに200万円と最後の利子の2万円を受け取り、投資が終了となります。分かりやすいように、ここでは固定型金利の例を紹介しましたが、債券によっては変動型金利も存在します。

また、購入した債券は償還前に売却することも可能です。株式などと同様、債券の価格も常に変動しているので、その時点の市場価格で売却することで売却益を得られる可能性もあります。もちろん、価格が値下がっていれば損失もありえます。

債券投資のリスク

債券投資には、大きく4つのリスクが存在します。

信用リスク

先ほど「発行体の信頼性」というお話をしました。債券購入時点では、「3年後に利子1%をつけてお返しします」と決まっていても、発行体が倒産してしまえば当然貸倒れになります。「債券投資=安全」という幻想は捨てて、投資前にちゃんと発行体を確認しましょう。

流動性リスク

「流動性」とは、金融商品がどのくらい頻繁に売り買いされているかを示す尺度です。あまりにも人気がない債券の場合、取引相手が見つからず、なかなか約定されないリスクがあるのです。

価格変動リスク

先ほど出てきた「償還前に債券を売却する」ケースのリスクです。債券価格は常に流通市場で変動しているため、購入時よりも売却時の方が値下がりしていれば、当然売却益はマイナスになります。

為替リスク

為替リスクは、債券の発行体が海外の場合に生じます。債券投資自体ではプラス利益でも、為替レートを考慮すると利益がマイナスになることも良くあります。

債券投資の方法

債券投資と一口に言っても、債券を購入する方法はいくつもあります。ここでは、実際に債券投資をする方法として「個別債券」「投資信託」「ETF」の3種類をご紹介いたします。

個別債券

投資家自身が、債券を1銘柄ごと分析して個別に買い付ける投資方法のことです。個別株投資と同様、どうしても1銘柄への投資額がかさみやすく、投資の基本である「分散」効果に乏しいデメリットがあります。また、初心者にとっては銘柄選定が難しい問題もあります。安全資産としてポートフォリオに組み込んだ債券がデフォルト(債務不履行)を起こしては、リスクコントロールが出来ていないと言わざるを得ないのです。

個人投資家が実践できる個別債権としては、「個人向け国債」がおすすめです。国が発行する債券である「国債」のうち、個人しか購入できない国債が個人向け国債になります。最低1万円から投資が可能で、銀行の定期預金よりも金利は高めに設定されています。使用用途のない資金であれば、銀行預金よりも利子の恩恵に与れるでしょう。また、発行体が国であるため信用リスクも低めです。日本の個人向け国債であれば、実質元本補償と言っても過言ではないでしょう。

債券投資信託

投資信託には株式だけでなく、債券銘柄で構成されたファンドも存在します。複数の銘柄で構成されているため、個別債券と異なり1ファンドで分散投資が可能です。資金も少額からの運用が可能で、運用自体もファンド会社に一任できるため手間もかかりません。特定の指数に連動するファンドが多いため、価格変動も緩やかで長期の積立投資に適した債券投資と言えるでしょう。

一方で、信用リスクや為替リスクなどは変わらずあるため、購入前には必ずファンドの目論見書を確認しましょう。

債券ETF

ETFは、証券取引所に上場している投資信託のことです。個人向け国債や債券投資信託に比べるとマイナーですが、ETFでも債券投資が可能です。

マイナーといっても、債券ETF市場は年々拡大傾向にあり、その純資産残高も順調に増加しています。株式ETFと同様、手数料を安く抑えることができ、市場が開いていれば1日に何回も売り買い可能などの特徴がありますが、長期保有が前提であればメリットはあまり大きくないかもしれません。投資初心者がポートフォリオに組み込むのであれば、ETFよりも投資信託の方が始めやすいのではないでしょうか。

まとめ

今回の記事では、債券投資の概要や仕組み、リスクなどについてお伝えしました。

一般的に「債券投資=安全資産」と認識されがちですが、これは大きな間違いです。投資である以上「絶対」は存在せず、必ずリスクがつきものです。債券投資では、リスクの中でも特に「信用リスク」に注意をしましょう。債券発行体の信用が低ければ、最悪貸倒れのリスクがあります。必ず投資を始める前に、投資家自身の目で発行体の信用性を確認することが大切です。

また、債券の購入方法には「個人向け国債」「債券投資信託」「債券ETF」の3種類があります。それぞれの方法でメリット・デメリットは異なりますので、よく理解した上でベストな方法を選びましょう。「初めての債券投資です」という方であれば、個人向け国債か債券投資信託が始めやすいのではないでしょうか。

債券投資がご自身のポートフォリオにおける「リスクヘッジ資産」になるよう、信用できる発行体の債券への投資が大切ですよ。

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Posted by まなぶ