NISAの注意点を解説。初心者が知っておくべき6つのポイント

NISAの注意点を解説。初心者が知っておくべき6つのポイント 

NISAは税制優遇を受けつつ、効率的に資産運用ができるお得な制度です。特に長期の資産形成を前提に、投資活動をおこなう方にとって、ぜひ活用してほしい制度の一つになります。。

しかしNISAには、非課税口座で運用するが故の、特有の注意点が隠れています。特に投資初心者の方は、この注意点に気がつかないままNISAを開始してしまうことも多々あります。いずれの注意点も、知らないままNISAを始めてしまうと、取り返しのつかない失敗につながる可能性があります。

投資活動全般に共通することですが、投資はみなさんの資本を元手に運用を始めるものです。大切なお金が動くわけですから、大きな失敗は避けたいですよね。

ぜひ本記事を参考して、十分な知識を身につけてから、NISAを活用してほしいと思います。

注意点の前に。初心者向けにNISAを概説

具体的なNISAの注意点を説明する前に、「NISAってなに?」 という方向けに、NISAの概要をお伝えしたいと思います。

NISAは、個人投資家が利用できる税制優遇制度のことです。一番の特徴は「投資で利益を得ても、税金を支払わなくてOK!」というポイントにあります。

通常の株式売買では、利益の20.315%を税金として払わねばならず、せっかくのリターンをまるまる自分のものに出来ません。しかし、NISA口座内での取引であれば、この納税を免れるぶん、より効率的な資産運用が可能になるのです。

NISAを始めるときは、一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAの3種類のなかから、自分にあった制度を選択して運用を開始します。それぞれの制度で、免税される投資期間や免税金額などに違いがあるため、ご自身の投資戦略にマッチした制度を活用しましょう。

NISAの詳細を知りたい方は、以前の記事(→NISAとは?基礎知識とおすすめの始め方を解説【初心者向け】へリンク)で詳しく解説しているので、こちらをご覧になって下さい。

初心者は知らないNISAの6つの注意点

NISAを上限いっぱいに活用することで、年間で最大120万円の投資額を非課税で運用できます(一般NISAの場合)。他にも、いつでも売却可能であったり、金融庁厳選の投資商品から購入できたりと、NISAには数々のメリットが存在するのは事実です。

そのため、一見すると「NISAは良い事だらけで欠点なし!」と思いがちですが、実は、これは大きな間違いです。金融庁のホームページなどでは、NISAのメリットばかりが強調される記事が目立ちますが、NISAには、初心者だと気付きにくい「落とし穴」がいくつもあるのです。

ここでは、初心者が見落としがちにもかかわらず、大切な6つの注意点についてお伝えいたします。いずれも知らないで始めると、「そんなはずなかった!」と後悔する可能性が高いポイントを厳選しました。

ぜひ6つの注意点を十分に理解してから、NISAの利用を開始していただきたいと思います。

NISAは利益がマイナスでも税金が課せられる場合がある

一般NISAであれば5年間、つみたてNISAであれば20年間が非課税投資期間に該当するわけですが、この非課税投資期間が終了したあと、保有している金融商品はどうなるのでしょうか。

非課税投資期間終了後は、2つの選択を迫られます。すなわち、「ロールオーバー」か「課税口座へ移管する」かの、どちらかを選ばなければなりません。

ここでは、「課税口座へ移管する」を選択したときを考えてみましょう。これを選択したときに注意せねばいけないのは、「非課税期間終了時点の評価額で、新規に商品を購入した」とみなされることにあります。

これだけでは分かりづらいので、もう少し深堀りしてみましょう。

例えば、当初100万円で購入した株式が値下がりし、40万円まで下がった時点で非課税期間が終了、課税口座へ移管されたと仮定します。この場合、非課税期間終了時の価格、すなわち40万円で、新たに株式を取得したと見なされます。そこから株価が上昇し、80万円まで値上がりした時点で、売却することにしました。

通常の感覚であれば、「当初は100万円で購入したんだから、80万円での売却で利益はマイナス。だから、税金は払う必要がない」と考えがちですが、これが落とし穴になります。

先ほどお伝えしたように、「課税口座へ移管した場合は、その時点の評価額で新規に購入した」と見なされる決まりがあります。よって、この場合であれば、40万円で購入した株式が80万円に上昇したことになるので、(80万-40万)×20.315%=約8万円を、納税する義務が発生します。

まとめると、当初100万円で購入した商品が値下がりし、20万円の含み損を抱えている上に、8万円の納税義務もあるのです。合計すると、約28万円の損失になるわけですね。

このように、NISAでは「利益がマイナスでも税金を負担する」ケースがあります。非課税投資期間が終了し、課税口座へ移管する際には、ぜひご注意ください。

NISA口座と課税口座での損益通算はできない

NISA口座での損失は、税務的にはカウントされない仕組みになっています。よって、NISA口座と課税口座との損益通算は不可能なのです。

例を挙げると、1年間の運用成績が、NISA口座で-20万円、課税口座で+20万円の場合を考えましょう。両者を合計して利益はプラマイゼロだから税金もゼロ、と計算しがちですが、ここが落とし穴ポイントです。

損益通算が出来ないため、この計算式は成り立ちません。すなわち、課税口座の+20万円には、しっかりと税金がかかるということです。

損益通算は、意外と見逃されやすいポイントなので、しっかり抑えておきましょう。

非課税投資枠の繰越と再利用は不可

NISA口座で購入した金融商品を、売却した場合を考えてみましょう。

「20万円で購入した株式を売却した場合、新たに20万円分の投資枠が追加される」と勘違いする方がいますが、これも間違いです。

購入した商品を売却しても、新たに投資枠が追加されることはありませんので、ご注意下さい。

同様に、今年使用しなかった分の投資枠を、来年に繰り越すことも不可能です。NISAを目いっぱい活用したい方や、投資資金が潤沢な方は、毎年の限度額いっぱいに投資枠を使い切るようにしましょう。

NISAの対象は新規購入商品だけ

NISAの対象になるのは、あくまでも新規に購入した商品だけです。

NISA口座開設前に、自分の課税口座で運用中していた金融商品を、NISA口座へ移管することはできません。

 NISA口座は1人1口座まで

NISA口座の開設は、お1人様1口座までになります。

すなわち、つみたてNISAと一般NISAの併用は出来ないということです。口座開設前に、必ずどちらか1つを選択する必要があるので、ご自身の投資戦略に見合う制度をご利用するようお願いします。

また、ジュニアNISAを利用中であれば、一定年齢を迎えたときに自動的にNISA口座が開設される仕組みになっています。ジュニアNISAも、一般・つみたてNISAとの併用はできないので、ご注意ください。

つみたてNISAではスポット購入不可。年途中で開始したら増額設定を。

つみたてNISAは、積立投資専用の口座と考えてください。

すなわち、つみたてNISA口座において、個別の投資信託をスポットで購入することは出来ないのです。毎月の拠出金額を決め、その金額での積立購入しか受けてつけていませんので、注意してください。

つみたてNISAでは、スポット購入ができないため、年途中で利用開始した場合は、増額設定の活用をおすすめします。

例えば年途中の7月から、つみたてNISAを始めたとしましょう。年間40万円の非課税投資枠を12ヶ月で割ると、40万円÷12=33,333円となりますが、7月から利用を始めた場合、この設定のままだと33,333円×6ヶ月=20万円しか、つみたてNISA枠を利用することができません。

そこで、増額設定を利用することで、つみたてNISAの非課税投資枠を最大限活用することが可能です。具体的には、この場合であれば、月々の33,333円に加えて、さらに33,333円を上乗せすることによって、(33,333円+33,333円)×6ヶ月=40万円を利用可能になるのです。

年の途中で、つみたてNISAを開始した方で、投資資金に余裕がある方は、増額設定を活用して、年間の非課税投資枠を使い切ることをおすすめします。

まとめ:NISAはデメリットも理解した上で上手に活用しよう 

今回の記事では、意外と知らないNISAの注意点について解説しました。

ネットや書籍でNISAを調べると、メリットばかりを強調する記事が多いですが、実は、その陰には見落としてはいけない注意点が隠れているのです。

特に、「NISAは利益がマイナスでも税金が課せられる場合がある」ことは、知らないまま制度を利用すると、大きな損失をこうむる可能性があります。このポイントだけは忘れないよう、しっかり肝に銘じてください。

「始める前に知っておきたかった」と、後悔しても手遅れです。厳しいようですが、「投資は自己責任」の世界ですから、十分な下調べが運用の成否を分けることも多くあります。

ぜひ正しい知識を身につけて、堅実な資産の形成を心がけましょう。

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Posted by まなぶ