金投資ってどうするの?金に投資する5つの方法を解説
みなさんは、「コモディティ投資」という言葉を聞いたことはありますか?投資の対象といえば、株や債券、REITなどがパッと思いつくでしょうが、実は「実物商品」にも投資は可能なのです。「コモディティ」とは、一般的に「商品」という意味ですが、投資業界では「投資対象となる実物商品」という意味で使われます。具体的な種類としては、「原油」「穀物」「貴金属」などがあり、今回のテーマである「金」もコモディティの一つになります。
金の歴史は古く、見た目が美しいだけでなく、加工がしやすく酸化もしにくいため、価値の高いものとして重宝されてきました。紀元前のトルコでは、貨幣としても使われていたそうです。
では、現代における金の立ち位置はどうなっているでしょうか。株式や債券などとは違い、実物そのものに価値がある金は、別名「有事の金」とも呼ばれます。株式や債券が下落局面を迎えても、金は異なる値動きをすることも多いため、より分散投資を高める効果があるのです。そのため、現代においても世界中の投資家から資産が流入しています。
また、金への投資方法は少し特殊です。金自体に価値があるため、宝飾店で「金貨」や「金地金」を購入する方法もあれば、「投資信託」や「ETF」として、通常の金融資産と同じように買い付けることも出来るのです。
今回の記事では、金に投資するための具体的な5つの方法をお伝えしたいと思います。それぞれにメリットとデメリットがあるので、よく知らないで金投資を始めると損失をこうむる可能性もあります。また、購入場所や保管場所などにも違いがあるので、実際に投資を始める際の参考にしてください。
純金積立
手元の資金が潤沢であれば、後述する金貨やインゴットなど、現物を購入することができますが、金投資への費用を抑えたい方も多数いると思います。
「純金積立」は、金メーカーや証券会社に購入申込みをして、毎月一定金額を積立てることで金を購入する方法です。インデックス型の投資信託を想像していただければ、分かりやすいと思います。少額からコツコツと自動積み立てができるので、費用を抑えつつ、ドルコスト平均法によってリスクを軽減する効果もあります。
従来は対面での申し込みが多かったのですが、近年ではネット株取引と同様、インターネットを介して純金積立の申し込みができるようになりました。申込み自体も比較的簡単なので、費用の面と合わせて、初心者が始めやすい金投資と言えるでしょう。
また、純金積立は主婦からの人気も高い方法です。理由としては、積み立てた金を宝飾品や金貨などの現物に交換できるからです。交換手数料を要しますが、等価交換によってお好みの商品を手にできるのです。
デメリットとしては、手数料が高めなことが挙げられます。購入・補完手数料のほか、買値・売値のスプレッドも必要で、業者によっては年会費がかかる場合もあります。
加えて、純金積立の場合、その保管方法が問題になる場合があります。純金積立の金は、ほとんどのケースで「消費与託」という方法で保管されます。消費与託の場合、金の所有権は保管会社に移っているため、もし保管会社が倒産した場合は、せっかく積み立てた金が返却されない可能性があるのです。
純金積立は、少額からコツコツと積立て投資が可能なので、今回紹介する方法の中でも、初心者が始めやすい金投資になります。しかし、手数料と保管方法に大きなデメリットがあるので、よく考えてから純金積立を始めましょう。
投資信託
投資信託は、不特定多数の投資家から集めた資金で金融商品を購入、運用し、その運用成果を投資家へ還元する仕組みの商品です。投資信託の詳細は、こちらの記事で解説しているので、興味のある方はご覧ください。(→インデックス投資とは?初心者向けに解説【長期資産運用に最適 リンク)
純金積立と同様、少額からコツコツと積立て投資ができる点がメリットになります。しかも、最低金額は純金積立よりやすく、100円単位で購入可能な商品もあります。加えて、投資信託の場合、資産の保有方法は法律で決められています。投資家の購入した金は、金融機関とは分けて保管することが定められているため、仮に商品発行もとの金融機関が倒産しても、投資家の金に影響はありません。もちろん、盗難のリスクも皆無です。
デメリットとしては、純金積立のように、実物商品へ等価交換できないことです。額面上、どれだけ多くの金を保有していようと、それは証券口座上の記録にすぎないのです。また、後述するETFよりも、信託報酬等の手数料が高めな点も投資信託のデメリットと言えるでしょう。
ETF
ETFは、正式名称を「上場投資信託」と言い、証券取引所に上場している投資信託を指します。ETFについての詳細は、こちらの記事をご参考ください。(→ETFって何?メリット・デメリット、投資信託との違いを解説 リンク)
先ほどお伝えした投資信託と共通する点も多く、盗難リスクがないことや、管理会社が倒産しても、投資家の金が保全される点は同様です。投資信託との違いは、金融商品が証券取引所を介して取引されることにより、リアルタイムで取引が可能になることが挙げられます。また、投資信託よりも売買手数料や信託報酬が安い傾向にあるので、保有コストを抑えることが可能です。
デメリットとしては、定期的な自動積立が難しい点です。証券会社によっては、ETFの自動積立に対応している証券もあるようですが、基本的には投資家自身が買い付ける必要があるので、手間と時間がかかります。
現物投資
ネックレスなどの宝飾品、金貨、インゴット(金地金)などの種類があります。種類によっては、近くのデパートや宝石店などでも購入できるため、最も身近な金投資と言えるかもしれません。また、自宅でも保管が可能なので、毎日眺めて所有欲を満たせるメリットもあります。
一方で、自宅での保管は常に盗難のリスクと隣り合わせです。おそらく大多数の方が、重い金庫を購入して保管していると思いますが、リスクの軽減はできてもゼロにはできません。盗難リスクを気にするあまり、精神的に追い詰められては、何のために保有しているのか分からなくなってしまいますね。
心配性の方であれば、銀行などの貸金庫を利用する方法をおすすめします。年間で数千〜数万円の費用がかかりますが、盗難防止の面からも、精神的にも、利用は十分ありだと思います。
先物取引
先物取引の特徴は、将来の決められた時点で、金融商品を売買することが決められている点です。そのため、投資家の判断で商品の売り買いを決定することはできず、取引価格もその時点で決められた価格で、売買がおこなわれるのです。
金の先物取引も取引の期限が設けられていますが、その代わりに、現物投資に比べて取引コストが低いメリットがあります。また、通常の投資では、商品を買ってから売ることが当たり前ですが、先物取引においては、売りからでも取引を始められる特徴があります。
また、先物取引ではレバレッジ効果で投資効率を高めることができます。レバレッジとは、元手の資金を担保にして、その数倍の取引価格の商品を売買することを指します。つまり、少額の資金を元に多額の取引ができるため、一気に利益を膨らませる効果があるのです。しかし、レバレッジは諸刃の剣です。大きく儲けられる可能性の一方で、同じ額だけ損失をこうむる危険性もあります。
先に紹介した、純金積立、ETF、投資信託は、どちらかといえば長期投資に向いた手法ですが、先物取引は短期の売買で投資効率を上げる手法という認識が良いでしょう。数ある金投資手法のスパイスとして、ご利用いただければと思います。
まとめ
今回の記事では、金投資の5つの手法として、「純金積立」「投資信託」「ETF」「現物取引」「先物取引」をご紹介しました。
いずれの投資方法にも、メリットとデメリットがあるため、本記事を参考にして理解を深めてから金投資を始めるようにしましょう。
なかでも、特に気をつけていただきたいのが「金の保有方法」です。株や債券投資の場合、証券口座に保有金額が表示されるだけで、実物は存在しません。一方、金はそのもの自体に価値があるため、特に自宅で現物保有する場合は、常に盗難のリスクがあります。コストはかかってしまいますが、販売会社や金融機関の保管サービスを利用した方が安全性は高いと言えるでしょう。
また、純金積立の保管方法は、投資信託・ETFと同じと思われがちですが、実は全く違います。仮に、純金積立の販売機関が倒産した場合、投資家に金が返ってくる保証はありません。長い時間をかけてコツコツ積み立てたものが、無駄になってしまう危険性があるのです。金の保管条件を優先した積立投資ならば、投資信託やETFの方が無難と言えるでしょう。
「有事の金」という格言通り、金を個人投資家のポートフォリオに組み込めば、より分散投資の効果を高めることができます。金投資を上手に利用して、リスクをコントロールできれば、みなさんの投資成績も今以上に安定するはずですよ。