ETFはどれを買う?初心者におすすめの選び方を5つのポイントから解説

2021年7月28日

ETFの銘柄数は年々増加傾向にあり、2021年時点で東京証券取引所の取扱銘柄数は230を超えています。銘柄数が多いことは選択肢の多さに直結するため、投資家にとってはメリットになりますが、すべての銘柄が投資に値するわけではありません。なかには、絶対に投資すべきでない「罠銘柄」も存在するのです。

特に投資初心者の場合、どのポイントに着目してETFを選べばよいか、お悩みのことと思います。投資は銘柄を選択することから始まります。適切なETFを選べなければ、利益を上げるどころか、大きな損失をこうむる可能性すらあるのです。

今回の記事では、ETFを選ぶ際の5つのポイントとして、「商品の種類」「配当金」「運用コスト」「トラッキングエラー」「流動性」を取り上げております。いずれもETFを選択する際には欠かせないポイントになりますので、覚えていて損はしないですよ!ご一読いただければ、みなさんのETF選びの参考になりますので、ぜひお付き合い下さい。

ETFの概要

ETFは「Exchange Traded Funds」の略称で、「上場投資信託」のことです。通常の投資信託とは異なり、上場することによって、証券取引所を介して商品の取引をおこなえる特徴があります。証券取引所を介することで、投資信託では不可能であった、「リアルタイムでの商品取引」が可能になるなどのメリットが生まれるのです。

しかし、ETFが投資信託であることには変わりないため、少額の資金で幅広い分散投資が可能な点は共通したメリットになります。一つの銘柄を買い付けるだけで、複数の国やセクター、資産クラスに資産を分配できるため、投資家自身がポートフォリオを構築する手間を省略してくれるのです。

また、ETFは「指数連動型商品」であることも大きな特徴です。ETFの基準価格は、「TOPIX」や「NASDAQ」のような指数(インデックス)に連動した動きをする商品が多く、いわゆる「パッシブ運用」に分類されます。短期間での大幅な利益を狙いにくい代わりに、市場全体の成長に伴って基準価格も上昇することが期待できるため、堅実な部類の投資に含まれると思います。投資対象となるインデックスさえ選べば、頻繁な売り買いも不要なため、投資にかける時間も短縮できるでしょう。指数の種類には株価以外にも、REITや債券、コモディティに連動するタイプもあるので、投資家の好みで選択できる点も魅力的ですね。

ETFについての詳しい解説はこちらの記事でしているため、「もっとETFについて勉強したい!」という方はご参考ください。(→ETFって何?メリット・デメリット、投資信託との違いを解説 リンク)

初心者がETFを選ぶ際のポイント

さまざまな魅力があるETF投資ですが、初心者がETFの銘柄を選択する際のポイントは何でしょうか?ここでは、5つのポイントからETFの選び方を解説しています。

商品の種類

先ほどもお伝えしたように、ETFの指数にはさまざまな種類があります。東京証券取引所を例に挙げても、なんと200以上のETF銘柄が上場しているのです。その内容もバラエティに富んでおり、国内株式はもちろん、外国株式、債券、REIT、金などたくさんの種類があります。加えて、同じ種類に分類される商品の中にも、さまざまな銘柄があるのです。

例えば、「総合型ETF」は最もポピュラーなETFで、「日経平均株価」や「S&P500」など、特定のインデックスに連動するETFのことです。より幅広く分散投資をおこないたい方や、初めてETF投資をする方であれば、総合型ETFからスタートするのがおすすめです。その国の経済や市況を反映しやすく、価格の動向を把握しやすい特徴があります。

ほかには、「テーマ別ETF」という種類もあります。ある一つのテーマをもとにして銘柄構成されたETFで、「高配当ETF」や、今流行りの「ESG ETF」などがあります。高配当ETFとは、高い配当利回り狙いのETF投資です。次の章で詳しく解説します。ESGは「Environment、Social、Governance」の頭文字をとったもので、「環境、社会、企業統治」の3分野に秀でた企業を指します。ESGが優秀な銘柄で構成されたETFは、業績などには表れないリスクを回避できる傾向があり、安定したリターンをもたらしてくれるのです。

これらはあくまでもETFの一例であり、実際にはもっとたくさんの種類が存在します。ETFを購入する前には、必ず商品ページの「ファンド概要」を熟読し、納得した上で投資を始めるよう心がけましょう。

配当利回り

ETFの中には、「配当金」を獲得できる商品があります。なかでも、配当利回りが高い銘柄群で構成されたETFは、「高配当ETF」と呼ばれることもあります。

高配当ETFの配当利回りは、一般的なETFよりも高めに設定されており、平均で5%前後の利回りがあります。100万円分のETFを保有していれば、5万円の配当金をゲットできることになるので、立派な不労所得といえますね。配当回数は銘柄ごとに異なり、年1回から4回程度とさまざまです。

個別高配当株の場合は、投資先が偏らないよう、投資家自身が考えてポートフォリオを構築するため非常に煩雑です。一方、高配当ETFは一銘柄で分散投資が可能で、しかも高い配当利回りを享受できるため、手間と資金の節約になります。最初から、配当金狙いでETF投資を始める投資家も多いのです。

注意点としては、分配金の再投資がセルフサービスであることです。投資信託商品とは違い、ETFの配当金は自動で再投資されることはありません。投資効率を高めるために再投資をしたい場合は、投資家自身で新規の銘柄を買い付ける必要があるので注意が必要です。同様に、税金の繰り延べ効果にも期待できない点もデメリットになります。

運用コスト

すべてのETFには運用コストがかかります。購入・売却手数料だけでなく、保有中は信託報酬も必要になるので、運用コストは低いに越したことはありません。もちろん、運用コストの低さだけに注目して、肝心のリターンが得られない商品を選んでは本末転倒です。しかし、ETFは長期保有を前提として購入する場合も多いので、保有期間中に払い続ける信託報酬も大切なのです。リターンに見合った運用コストなのかを勘案しましょう。

また、国内ETFであれば関係ありませんが、海外ETFでは為替手数料が必要になることもあります。買い付ける前に、トータルでいくらコストがかかるのかを確認しておきましょう。

トラッキングエラー

ETFがインデックスに連動する商品であることは、すでにお伝えしたとおりです。しかし、運用会社が資産運用をする中で、場合によっては、インデックスとETFのリターンが乖離することがあり、このズレを専門用語で「トラッキングエラー」と言います。

個人投資家がNASDAQに連動するETFを買ったとしても、そのETFがNASDAQに上手く連動しなければ、期待していたリターンを得られませんよね。これでは事前のシミュレーションも無意味ですし、信用のおけないETFという評価が下されます。

つまり、トラッキングエラーが小さいほど優秀なETFと言うこともでき、ETFを評価する上で重要なポイントになります。

流動性の高さ

流動性が高い商品とは、すなわち「売買量が多い商品」のことです。つまり、たくさんの投資家が、売り買いしている商品ということもできます。

同じ指数に連動するETFであっても、その流動性は異なることが多いのです。流動性が高ければ、売り買いの注文から約定までが短時間で済むことも多く、スピーディーな取引が可能になります。投資対象の指数が決まったら、なるべく流動性の高いETFを購入するようにしましょう。あまりにも流動性が低いETFの場合、なかなか売買が成立せず、ヤキモキする可能性もありますよ。

まとめ

今回の記事では、初心者がETFを選ぶ際の5つのポイントをお伝えしました。

ETFは、その商品数もさることながら、種類も非常に豊富です。ご自身の投資の目的やポートフォリオ全体のバランスをよく考えて、種類を選択しましょう。高配当ETFで配当金を狙うのであれば、配当利回りは高い方が配当金も増えますが、再投資はセルフのため注意してください。運用コストとトラッキングエラーは小さい方が優秀なETFと言えます。必ずETFの目論見書で内容を確認しましょう。最後に流動性についてですが、流動性はなるべく高いETFを選ぶようにしましょう。流動性が高ければ、頻回に売り買いされている証拠なので、約定までの時間も短縮できるはずです。

ETFの銘柄選定に迷った際は、ぜひ本記事を見直してみてください。投資全般に言えることですが、納得してから商品を購入することが大切です。順調なスタートを切るためにも、ETFの銘柄選びは慎重に行うようにしましょう。