金投資(ゴールド)にはどんな効果があるの?メリットとデメリットを解説
近年では、「人生100年時代」「老後2000万円問題」が取りだたされたこともあり、投資が注目を集めています。投資というワードからは、「株式」「債券」「不動産」などを連想する方が多いと思いますが、今回テーマの「金」も古くからある投資先なのです。
金の最大の特徴は、「金自体に価値がある」ことです。株式や債券は、企業や国に資金を融資している証明書にすぎず、そのもの自体に何の価値もありません。一方、金は、その希少性や美しさから、金そのものに大きな価値があるため、株・債券などの金融商品とは異なる性格をもちます。
例えば、ポートフォリオに組み込むことで分散投資の効果を高めたり、インフレーションに強かったり、信用リスクがなかったりと、他の資産にはないメリットを金は有しているのです。「いろいろ魅力的な商品があるのに、なんで金投資なの?」と疑問の方は、本記事を読んでいただければ、金に投資する意味を理解できることと思います。
また、先の特徴は金のデメリットにもつながります。金の保管方法や為替の影響などを知らなければ損失を出す可能性もあるため、実際に金投資を始める前に、ちゃんと確認しておきましょう。具体的な金のデメリットについては、本記事の後半でお伝えしたいと思います。
「有事の金」という格言通り、金はみなさんの投資の救世主になってくれるかもしれません。金投資のメリット、デメリットを正しく理解して、より堅実な資産運用をするためにも、ぜひ本記事を最後まで読んでいただきたいと思います。
金投資の概要
金投資は、金を自分の投資対象に組み込み、資産として運用することを指します。金は希少性・保存性・加工性・美しさなどの観点から、古くより「価値あるもの」として取り扱われてきました。株や債券などよりも、よっぽど歴史ある資産なのです。個人投資家が保有していることはもちろん、世界各国も金融政策の一つとして、金の保有と運用をおこなっています。
金は、原油やプラチナと同じく「実物資産」と呼ばれることがあります。「金」という実物が存在し、そのもの自体に価値がある資産という意味です。株式や預金など、実態が存在しない「金融資産」の対義語としてよく使われます。
実物資産である金への投資方法には、実にたくさんの種類があります。例えば、金貨やネックレスなどの現物を購入する「現物投資」、金融商品として証券会社などが販売している「投資信託」と「ETF」、毎月コツコツ積み立てて実物交換も可能な「純金積立」などが代表的な金への投資方法です。それぞれに特徴があり、メリットとデメリットが異なりますので、どの手法で金投資を始めるかを熟考してから、金投資をスタートさせることをおすすめします。こちらの記事を読めば、それぞれの投資方法について深く理解できますので、是非参考にしてください。(→金ってどうやって買うの?金に投資する5つの方法を解説 リンク)
金投資のメリット
金投資は、実物であるがゆえに特有のメリットがあります。いずれのメリットも、株や債券とは一線を画すものなので、これら金融資産と組み合わせれば、より堅実な投資戦略を組み立てられるでしょう。ここでは、金投資の3つのメリットをご紹介いたします。
インフレに強い
インフレーション(=インフレ)とは、物価が上昇することです。現金に対してモノの価値が上昇するため、裏を返せば、現金の価値が下がるとも言えます。金は実物資産なので、インフレでモノの価値が上がると、一緒になって金の価値も上昇する傾向にあります。つまり、「インフレに強い資産」と言えるのです。
世界的に価値を認められている
金は世界各国で高い価値が認められています。極端な話、食べ物に困った時に証券を見せても食料を恵んではくれませんが、金との交換であれば喜んで食料を提供してくれるでしょう。つまり、どこへ持って行っても金の価値は失われず、換金性も高い資産といえるのです。
また、換金性は金への投資方法によっても異なります。投資信託やETFという形で金を購入するのが、最も換金性が高い手段と言えるでしょう。しかし、実物投資であっても、世界の市場は広いため、不動産等に比較すれば買い手は見つかりやすい資産と言えます。
信用リスクがない
株や債券は、発行元の企業や国が倒産してしまえば価値がゼロになるため、「信用リスクがある」と表現されます。一方、金の場合は、先にもお伝えしたように、実物自体に価値があるため、いかなる状況でも価値が消失することは考えにくく、「信用リスクがない」と言われるのです。信用リスクがないことは、資産としての信頼性が高いことを意味します。
また、「有事の金」という格言の通り、国や社会が混乱したとき、金の価値は上がる傾向があります。社会が混乱して経済がマヒすれば、各国は積極的な財政支援と金融緩和をおこなうことがあります。ときには「カネのバラマキ」とも揶揄されるこうした政策で、企業や経済状況を立て直すことが目的になります。金融緩和が実施されれば、金利は低下し、債券投資の旨みも減少します。同時に、企業の財務状況も困窮していることが多いため、株式投資も利益を上げにくく、リスク回避の売り注文によって株価は下落傾向になります。
一方、金の発行元は国でも企業でもないので、情勢が不安定であっても価格変動は起きにくいのです。そのため、株や債券とは異なる値動きをする資産として取り扱われます。個人投資家のポートフォリオに組み込めば、分散投資効果を高める効果が期待でき、堅実な投資を可能にするのです。
金投資のデメリット
実物資産であることは諸刃の剣です。メリットをもたらす一方で、デメリットの原因にもなります。ここでは、3つのポイントからデメリットを解説いたします。
金の保管にはリスクとコストがつきもの
金の保管方法は、投資方法によって異なります。
例を挙げるなら「現物投資」が一番分かりやすいでしょうか。金貨などを自宅で保管することも多いと思いますが、自宅保管は常に盗難のリスクがあります。金庫を購入して保管しても、リスクをゼロにはできません。最も安全な方法は、銀行などの貸金庫を利用する方法ですが、年間数千〜数万円のコストを要します。
また、「純金積立」を選択した場合もご注意ください。純金積立の金は、ほとんどのケースで「消費与託」という方法で保管されます。消費与託の場合、金の所有権は保管会社に移っているため、もし保管会社が倒産した場合は、せっかく積み立てた金が返却されない可能性があるのです。
このように、金の保管にはリスクやコストが必要です。世界的に価値を認められるということは、世界中から狙われることの裏返しなのですね。
インカムゲインは得られない
インカムゲインとは、保有する資産から継続的に得られる利益のことです。配当株の配当金、不動産の賃貸収入などが代表的なインカムゲインです。加えて、資産の保有中に価格が値上がりすれば、売却時のキャピタルゲインも獲得できる可能性があります。
一方、金に配当金はありません。よって、インカムゲインはゼロで、保有だけでは利益を得られないのです。売却する際の値上がり益しか狙えず、国債や預貯金のような元本保証資産でもありません。大きな利益を得るための投資ではなく、あくまで分散投資の一部として認識したほうがよいと思われます。
為替の影響を受けやすい
金の売買は米ドル単位でおこなわれるので、どうしても為替の影響を受けるデメリットがあります。また、過去のデータからは、金の価格と円/ドルレートは逆相関することが知られています。金価格が上昇する局面ではドルが売られ、ドルが買われるときには金価格は下がるのです。そのため、せっかく金価格が上昇しても、円高による為替リスクで利益を享受しにくいデメリットがあるのです。
まとめ
今回の記事では、金投資のメリットとデメリットについてお伝えしました。金は実物資産がゆえに、株や債券とは異なる値動きをすることで、みなさんのポートフォリオの分散投資を高めてくれるのでした。また「有事の金」という格言通り、世界情勢が混乱していても、比較的安定した推移をとる特徴もあります。より堅実に、安定した投資成績を残したいのであれば、金投資を検討する価値はありそうですね。
一方、そのもの自体に価値がある金は、常に盗難や保管リスクの問題を抱えています。金投資の方法によって保管リスクも変化しますので、よく考えてから金投資をスタートしましょう。保管リスクを重視するのであれば、投資信託やETFで金を購入するのが最も安全かもしれません。
金投資のメリットとデメリットを正しく理解して、堅実なポートフォリオを構築しましょう。本記事がみなさんの金投資の参考になれば幸いです。